「みんなに集まってもらったのは他でもない。」
と、突然仰々しく演説を始めたのは若島津健である。
「俺たちが日ごろ大変お世話になっている、あのお方の記念日を盛大にお祝いしようではないか!」
その言葉に、誰もがうんうん、と頷いて見せた。
…松山以外は。
「???なあ反町。あのお方って誰だ???」
「ああ。松山は気にしなくていいんだよvv」
「何で?」
「何でも。」
反町は笑顔でそう答えると、「はーい!!」と手を挙げた。
「それならさー健ちゃん。松山にリボンくくりつけてプレゼントしてあげたらいいんじゃない?」
「は?!!」
なななな何の話?!!と松山は目を丸くする。
だが他のみんなはなんとなーく納得…の顔。
「甘い!!甘いぞ反町!!!」
ツッコミを入れたのはもちろん壇上の若島津。
「しるこのように甘い!!」
「って、何でしるこ??」
「そこはどーーーーだっていいんだ。」
「はいはい。で?」
「あのお方が松山を愛してやまないことなど百も承知の助だ。
 だが俺たちが献上すべきはそんなものではない。
 愛してやまない松山が、泣いたり笑ったり喜んだり怒ったり、
 あんな目にあってそんな声を出したりなんかして放送コードぎりぎり引っかかるものじゃないのか?!!」
…いやいや、ひっかかっちゃダメだろ健ちゃん、と一応ツッこんでみた。
「そういうわけで、まずは一番手反町!行ってこい。」
「えー なんで俺ぇ?」
「お前一番手っぽい感じだろ?」
「そうは言うけどね。日向さんに敵わないのは認めるとしても、
 ここの影のメインは実は反松って知ってた?」
「知らん。早く行け。」
あーはいはいもういいです、と言いながら、反町は隣に座る松山の手を取った。
「んじゃ、そーゆーことらしいから、行こうか松山。」
「へ???どこへ??」
「そーだな〜。俺の役回りってだいたい切ない胸キュンだからね〜。夕陽の綺麗な海とかどう?」




夏休み最後の日。
俺は松山を近くの海に連れてきた。
目的はひとつ。
俺の想いを、伝えること…
「うっわーーーーっ すげー!!」
夕陽が海を赤く染めている。
松山は目をキラキラさせて、満面の笑みで海を見つめていた。
その横顔に…俺は見惚れて、それから… 少し泣きたくなって。

ーーーーーー 人生初の告白が、人生初の失恋なんて

(ちょっと悲し過ぎる…)
「松山」
「ん?」
「俺の話、最後まで聞いてくれる?」
「?なんだよ。急にあらたまって。」
変な奴、と松山は小さく笑う。
ああ、神様… 俺に勇気を下さい。
…… 奇跡は、望まないから…
「俺、ずっとお前のこと   好きだったんだ。」
「…え?」
松山の、大きな瞳が揺れた。
「友達とかじゃ、なくて。」
「反町…」
「わかってる。松山、好きな人いる よね?」
「………」
松山は気まずそうな顔をして、俺から目線を逸らした。
言葉はなくても、それは「そうだ」という返事にしか思えなくて…
わかっていたけど、聞いたのは俺だけど…それでも心が痛んだ。
俺のよく知る、あの人を… やっぱり 好きなんだ…
「…ごめん。反町…」
「松山が謝ることじゃないよ。」
精一杯の笑顔を作ってそう言うと、松山はまた小さな声で「ごめん」と言った。
(…くそう… 諦めたくないっっ)
心の底からそう思ってしまった自分自身に驚いた。
まさか、この俺が、あの人に盾突くようなことをするなんてありえないと思っていたのに…
でも、それだけ本気なんだ。
「…ね、松山。松山は告白したの?」
「え?!/// ま、まさか…」
「じゃあ、まだ俺にも可能性あるって、ことだよね?」
「…反 町?」
松山の肩にそっと手を置く。
そう。まだ可能性はある。
松山が、俺を好きになればいいんだから。
松山の顔に自分の顔を近づけていく。
「っ… ?!」
日向さんには悪いけど… 松山のファーストキスは俺が




「時間切れ〜〜〜」
「って、ぎゃーーーー!!!健ちゃん酷くないか?!!!」
キス寸止めの反町は思わず若島津に掴みかかる。
一方の松山は一瞬記憶が飛んだだけでまるで覚えておらず、ぽかんとしている。
「はいはい反町の時間は終わりだから。じゃあ、次は… 新田でいくか。」
「わーいvvv俺は時間切れの前に、とっととやることやっちゃいまーすvv」
満面の笑みでそう言って、松山の手を握る。
「松山さんv全部俺に任せておいて下さいねvvv」
「え?何がだ???」
「他に誰もいない、ロッカールームとかがいいなvv」




「雨なんて、天気予報で言ってなかったぞっっ」
びしゃびしゃに濡れた松山さんが、怒りながら… でも何故だかちょっとはしゃぎながら言う。
練習が終わって他のみんなは宿舎に戻ったけど、
俺はいつも居残り練習している松山さんと一緒にボールを蹴っていた。
そこに昼間あんなに晴れていたのに、スコールか?!ってくらいの大雨が急に降ってきて、
大急ぎでロッカールームに駆け込んだのだ。
「うわ… びっしゃびしゃだ。風邪ひいちまいそ。」
言いながら松山さんはプラクティスユニフォームの上を豪快に脱いだ。
タオルで上半身を拭く松山さんに…  俺は…
「新田?お前も早く脱がないと風邪ひくぞ?」
短めの前髪にしたたる水滴。
俺よりもしっかり筋肉のついた上半身。
どうしようもなく我慢のきかない俺を、あなたは、許してくれるだろうか…
「松山 さん」
「っ///」
その身体をロッカーに押し付けると、ガシャン、と大げさな音を立てた。
掴んだ肩口から、俺の手の平の温度も、俺の考える何もかもも、全部伝わってしまいそうな気がして。
「好きです。」
「… 新 田 …」
「俺の気持ち、気付いてましたよね?松山さん」
「…… あ 」
「キス させて下さい。 したいです。」
「………」
少し困った顔をして、それから、ゆっくりと目を閉じてくれた。
気付いて いたんでしょう?松山さん。
それで、俺のこと、めちゃめちゃ意識してましたよね?
俺は背伸びをして、そっと唇を合わせた。
たまらなく甘いキス…
裸の上半身に指を這わすと、びくっと身体を震わせた。
…ヤバイ…
ヤバイっす松山さん…
俺、このまま押し倒しちゃっていいっすか?!!!
上半身どころか、下半身も全部裸にしちゃっていいっすか?!!!
ダメって言われてももう遅いから!!!
「松山さん!!!!」




「はいそこまで〜〜〜」
「うわーーーー!!!若島津さんのアホーーーー!!!!」
「アホっつったかオイコラ新田」
「言ってないっす。」
新田はすごすごと後ろに下がった。
「キスさせてもらえただけマシだろ新田。」
反町が睨むと、「ごっつぁんです!」とピースをする。
「さて。次は誰にする?クマ松?」
???クマ???
「え?トド松?」
????お○松くん????
「あ。源松だった。」
「お前!!!わざとだろ!!!」
びしーーーーっと、クマ トド 若林の鋭いツッコミが入ったところで
「おっと、続きはまた次回。なんかここから裏館らしいから。」



(裏館に続く…?!)

みゃあ様に遅ればせながらの一周年記念品でございます。
みゃあさんおめでとう〜vvvvそしてこれからもよろしくお願いします☆
裏にする気はなかったんですが…
裏にしたくなったから!!!!(爆)
みゃあさんへのミツギモノだし!!!!
さくさく頑張ります。
っつか「密室」もまだ途中でスミマセン;;


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