「ひゅーがー 洗濯バサミどこ〜?」
ベランダから聞こえる愛しいその声。
腰を上げて洗面所に向かおうとすると、足に重たいものがくっついてきた。
「あかり、ちょっと待ってろ。」
「やーん」
松山にそっくりな2歳の長女は、しつこいところまで松山にそっくりだと思う。
俺の脚に掴まったまま離す気がないらしい娘を抱き上げ、俺は洗濯バサミを取りに行った。

「ほらよ。」
「サンキュー」
「……」
ベランダの物干し竿に干された洗濯物は、なんちゅーか、もうちょっとどうにかならんものか?
「松山。こう、パンパンってしてから干さないと」
「やってるって!もー。日向は座ってろってば。なー あかりv」
今日の松山はやたら張り切っている。
普段は俺が家事炊事は担当しているんだが、「たまには俺がやるから座ってろ!!」
とか言って、どこからか赤いエプロンを取り出してきて着けると、洗濯を始めた。
…のはいいんだが…。
洗剤はどこだの、それをどこに入れればいいんだだの、柔軟剤ってなんだだの、スイッチどこだだの、

俺がやった方が早いから!!!!

と、何度言いかけたことか…

「あのな、松山。」
「うん?」
「お前、適材適所という言葉を知っているか?」
「へ?」
「だから俺がDFには向いてないように、松山は」
「俺はコンバートキングだからな。」
…はい?
何か、とても偉そうにふんぞり返って、松山は腰に手を当てて言った。
「FWもMFもDFもいけるぜ!!俺って器用☆」
松山はVサインを決めて、再び洗濯を干し始めた。
…ああああああ
その器用さを、もっと普段の生活に生かしてくれたらいいのに…
っつか、そういうことを言いたかったんじゃなくてだな。
「…まあ、いい。」
「何がだ?」
「いや、何でも…」
赤いエプロンの後ろ姿。
蝶々結びが縦になっちゃってるあたり、やっぱどこが器用なんだ…?と思う。
「あかり、ちょっと降りててくれるか?」
「ん。」
なぜか偉そうに返事をする娘を床に下ろして、俺はベランダに出ると、後ろから松山の腰に手を回した。
「っ… な、なんだよっっ///」
「いや、ちょっと、ムラっときて。」
「アホか!!子供の前で変なことすんな!!っつか邪魔!!」
「いいだろ。たまには」
「ひゅーがっ  あっ 馬鹿っっ///」
青く晴れ渡った空の下、いちゃこらすんのもたまにはいいvvv
とか思っていたら

「せいやーーーーーー!!!」
「ぎゃあ!!!!」

太股あたりに激痛!!!!

「コジ!ひかるを苛めるんじゃねえ!俺がゆるさないぞ!!」
仮●ラ●ダーの剣を持って構えるのは、俺にそっくりな5歳の長男、小太郎だ。
「お前… 今手加減なしにやっただろ…」
「だって、コジがひかるをイジめるから」
よわいものいじめはいけないんだぞーって、コレのどこが弱いんだ。
プラスチックの剣だってなっ おもくそ叩いたら痛ぇんだぞ!!
「コタ、偉いけどな、それで叩いちゃだめだぞ。」
「はーい。ひかる、ごめんなさい。」
って、俺に謝れぇ!!!

やれやれ、と仕方なく松山から離れ、部屋の中に戻る。
「コタ、洗濯干すの、手伝ってくれるか?」
「はーい!!!」
うーん。今日の洗濯物はシワシワに出来上がるんだろうな…
「コジー。おなかすいたー。」
おお。娘よ。癒される…
「じゃ、ホットケーキでも作るか。」
「わあいvv」
と、その声を聞きつけて
「コタもほっとけーき つくる〜っっ」
「お前は洗濯干すの手伝うんじゃないのか?」
「やーだー。ほっとけーきの方がたのしそうだもん。」
子供にぎゅうぎゅう押されながら、俺はキッチンへと向かった。




「うまいっ やっぱ日向の作るホットケーキは最高だな。」
むしゃむしゃと頬張りながら、赤いエプロンを着けたままの松山が言った。
「お前、なんかやけに機嫌がいいな。」
「おう。今日は休みだし、天気もいいしな。」
先に食べ終わった子供たちは向こうの部屋で遊び始めている。
俺はコーヒーのおかわりをカップに注いだ。
「な、日向。」
「うん?」
「俺、もう一人っくらい子供欲しいvvv」
「……お、おう…」
思わず返事をしたら、
「やった!んじゃ、今日から子作りがんばろうなvv」
ウキウキしている松山があまりにも可愛くて、俺の頬も緩んだ。


(完)


ミナ様に捧ぐ、「もしもマツコジに子供がいたら」です。
娘ちゃん、もうすぐ2歳記念です☆
お待たせした上、短くてスミマセン;;;
設定がリアルにうちなんですが(笑)うちの息子はもうちょっと大人しくて
娘はもうちょっと激しいです。
ちなみにこの後、「夕飯も俺が作る!」と言い張る松山に
またもや日向さんは苦労する羽目になります。

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