「赤い糸を解けない」




どんくらい俺が好きなの?
しない しない キスしない
遊びじゃキスしない



「あのさ」
そう切り出しておいて、言葉に詰まる。
言いたいことが言えない性格ではないから、
椅子に座った状態で爪先を見つめられているのを不思議に思っていることだろう。


Jrユースの合宿所の娯楽室。
もうすぐ消灯なのもあって、俺と日向しかいない。
てゆーか、何時の間にか他の奴等が部屋に帰ってた、ってだけなんだけど。
気が付かなかった俺って・・・。
だからなのか、堂々とキスしてきやがった。
もう何度目だろう。こうして触れ合わせるだけのキスなんて。
最初は、合宿に参加した2日目の夜。
ベッドでごろごろしてたら、いきなりだった。
ひでえよなー。ファーストキスだったんだぞ〜。
そんで、次は片付け当番の時。
倉庫の影で隠れるように、した。
んで・・・もう数えるのが嫌になるくらい。
合宿所で同室なのが悪いんだ、と思っても部屋替えなんて出来るはずもなく。
現在に至ってしまっているのに。

「・・・だから、何だよ?」
実際には数秒、だけど俺には永遠に続くと思われた時間。
口をへの字に曲げて瞬きを繰り返す俺に、奴はそれ以上言葉をかけなかった。
「何で、キス・・・すんの?」
「嫌なのか?」
「そうじゃないけど・・・」
「けど?続きを聞きてえな」
「だって、おまえ・・・」


俺のこと嫌いなんだろう?
毎日、口喧嘩して。
怒鳴り合ってるんだぜ?
取っ組み合いもするし。

なのに、どうしてキスなんて・・・。

「遊び、だったらごめんだからな」
「あのなー・・・」
「それとも、嫌がらせ?」
「違ぇって」
「・・・本当に?」
「疑ってンのか」
「だって、俺」
「だって、ばっかだな」
「・・・悪かったな・・・」


俺の気持ちを知っててやってんの?
言ってないし、行動にも出してないはずだから、気付いてないと思う。
多分、な。
もしかして日向も俺のこと・・・好きなのかな・・・?
そんなこと、ないと思うけど・・・。


「嫌いだったら、普通こんなことしねーだろうが」
「・・・じゃあ、何で?」
聞き返すと、視線をそらされた。
あ、そういうのすげー傷付くなー・・・。
「気付けよな〜・・・」
そういう日向の頬が少し赤くなっているのが見えて。


「好きだからに決まってンだろ・・・」

え?そうなの?
きっと俺はこれでもかってくらい目を真ん丸くしてるに違いない。
日向が俺のことを好きだって?
・・・マジで???


「文句、あんのかよ?」
何か睨まれてるんですけど。
そんな告白の仕方、あるかよ・・・。


俺だって、同じだよ。
好きだから、許してるんだ。
おまえこそ気付けよな〜。


「おまえは、どうなんだよ?」
「んー・・・内緒」
「何だよ、それ。ズルイぞ」


今は言わないでおこう。
うん、決定。
少しは悩みがあってもいいよな?
お前の頭の中、俺だけで埋めてやるよ。


end

ミナ様ありがとうございました!!!
はう〜っっvvv
中学生っっって感じがたまりませんなっっvvv
もー。お前らvvv
大人になってベッドの中で
「そんな若い頃もあったよな…」
「っつか、俺の大事なファーストキスを返せ。」
みたいなやりとりがありそう〜っっ
設定はJr.ユース、イメージは某娘。の「リゾナントブルー」だそうです☆



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