「隠し味は何がいい?」
 
 
 

「クリスマスってさあ、何だかわくわくするよな」
あったかいを通り越して熱々のカフェオレをちびちび飲みながら、俺は反町の方をちらっと見た。
子供っぽいかな、と思ったんだけど。
「だよね〜。イブもいいけど、やっぱり当日っしょ♪」
と笑顔が返ってきたのでやっぱり?と俺も笑みを返した。
東邦学園高等部のサッカー部員たちが集まって、決起集会という名のクリスマス会が催されていた。
集まるのは・・・シングルベル(古っ!)な奴らばっかなんだけど。
俺と反町は選手権の疲れもあって寮内に残っていた。
そしたら先輩に捕まって、半ば引き摺られるようにして参加させられ。
飽きたら途中で抜け出しちゃうのもアリだから、
集まって騒いでいる人垣から離れたところでこうしてお茶会みたいのを開いている。
お茶会は限定二名様、だけどな。
「松山はさ。北海道にいる時のクリスマスってどうやって過ごしてたの?」
「んー?小さい時は近所の連中と集まってたかな。中学ン時は・・・関係なくて、ボール蹴ってたよ」
「この時期って、雪積もってるんじゃ・・・」
「雪の上でもサッカーは出来るって」
「いや。俺無理だし」
即答かよ・・・。
ま、雪国育ちの俺にとっては当たり前でも、都会育ちの反町にとっては当たり前じゃないことだしな。
「どした?」
「何か・・・ちょっと」
「ちょっと?」
「嫉妬、したかも」
「え?・・・えええっ!?」
「そんなに驚かなくていいじゃーん」
だって、嫉妬なんて・・・ん?
「えーと。何に嫉妬したんだ?」
「・・・松山の過去」
「えっ?」
「俺の知らない松山がいたんだなーって思ったら。ちょっと、ね」
反町らしくない言葉と表情に、息を呑んだ。
何時も笑顔で飄々としててさ。
周りの目なんか気にせずに「愛してるよ〜んv」とか言っちゃえるのが凄く羨ましくて。
そういう感情を持っているなんて・・・あ、でも、それが普通だよな。反町の場合は表に出ないってだけで。
だから・・・そんなこと言われたら・・・。
「反町って、可愛いな」
「へ?」
「何だよ。可愛いって言われるの、嫌いだったか?」
「・・・今日の松山は意地悪だね」
「そうかな?」
両手で持っているマグカップを机の上に置く。もうちょっと冷ましてから飲もう、うん。
「過去は過去だろ。今は・・・反町と一緒。な?」
「流石松山。切り替え早いなー」
「そうしないと・・・俺も嫉妬しちゃいそう」
「・・・松山も?」
「うん」
お互いの視線がぶつかって。数秒後には真剣な眼差しが和らいで笑顔になった。
「松山にとって、サッカーが一番だもんねえ」
「それは反町だって同じじゃないのか?」
「俺は違うの!俺にとっての一番は、松山だもん」
「・・・・・/////」
かあっと顔が熱くなる。そんな俺を見て、反町は耳まで赤くなってるーと指差して笑ってるし。もー!!
「笑うなよっ」
「だって・・・凄い真っ赤・・・っ」
「笑いを堪えるのも駄目!」
「どうしろって言うのさー!」
「・・・こうすんの」
俺は大口を開けて笑っている反町の唇の端にキスをした。途端、笑い声が収まる。
「あ、止まった♪」
「松山〜〜〜///」
「されてるばっかじゃムカつくからさ〜」
「カフェオレ味のキスって・・・凄く良いかもv」
「え?ちょ、ちょっと反町っ!顔近付けんなって!」
「何で〜?俺も松山にちゅーしたいー!」
「・・・おまえらは何してんだよ、こんなとこで・・・」
お、日向。もしかして・・・今の見られてた!?
「いちゃつくならここから出て行けー!!」
「僻むなよっ。外は寒いし、いいじゃん別に!」
「日向さん・・・落ち着いて・・・」
「反町!てめえ、そのだらしない顔何とかしろ!」
 
 
クリスマスソングが流れる部屋で、仲間達と騒ぎあう方が俺たちにお似合いかもな?
こそっと反町に耳打ちしたら、何時もの悪戯っ子の顔になった。
誰に仕掛けようかな〜と嬉しそうにしている姿を見て、俺にも手伝わせて?と問うと「勿論v」と返ってきた。
うん。その方が反町らしくて・・・好き、だよ。
 
 
 
「ねえ松山。これからプレゼント買いに行かない?」
「お、いいねー♪」
実は、反町が好きそうな物って思い付かなくってまだ買ってないんだ・・・と白状すると。
「んじゃ、松山のキス付きでv」
と返ってきた。
「俺は高いぞー?」
「知ってるよ〜ん。だから、俺の一生かけて払うからさv」
・・・参りました。本当、反町には敵わないなあ・・・。



ミナ様ありがとうございました!!!
人様の書く反×松が読みたくて、「反松でクリスマス!!!」ってリクエストをさせて頂きました♪
ラブラブで、しかもちょっぴり松山が積極的なところが何とも素敵でございます!!!
そして目撃しちゃう日向さんも最高vvvぷふふふふ。
もー、ホント、いちゃこらしてんじゃねええええ!!って叫びたくなる二人だわっっvvv
それにしても、ミナさんは本当に仕事が早くていらっしゃる!!
尊敬…☆

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