松山と一緒に公園でデートも兼ねたトレーニングをした帰り、松山が「本屋に寄る」と珍しいことを言った。
「なんだ、何か買うのか?」
「んー。ちょっとな♪」
やけに嬉しそうな顔をするので気になって後ろをくっついて行ってみると…
って、どこへ行くんだ…?
雑誌のコーナーも通り過ぎて、漫画のコーナーとは逆方向へ…
中高生の参考書やなんかの売り場の方へ向かっていく。
「今更勉強してどーすんだ?」
「違う!」
さらにその奥。
角のスペースに絨毯が敷かれ、随分とかわいらしいテーブルと椅子が目に入る。
…ここは…
「…絵本??」
「姪っ子に買ってやるんだ〜♪」
…なるほど。そーゆーことか。
「誕生日か?」
「いや、別に。」
「じゃ、なんで」
「いいだろっ プレゼントは誕生日とクリスマスしかあげちゃダメなんて決まってないだろっっ」
ああ。これは、あれだな。親バカならぬ、叔父バカというやつだな…
自分の子供と違って手放しで可愛がれる分、孫と同じ感覚でついつい甥っ子姪っ子を甘やかしてしまうマジック。
とか言う俺も、直子が結婚して子供が出来たら確実に溺愛すると思われる。
…いやいや、直子が結婚…?
いやいやいやいやいやいやいやいやいや!!お兄ちゃんは許しませんよ!!そんな男!!!
「もっとちゃんと選べ!!!!」
「なっ なんだよ… いきなり大声出すんじゃねえよ。言われなくてもちゃんと選ぶっつーの。」
妄想の声が外に出てしまったが、何故か会話が成立しましたと。

「あ、俺この本好きだった。これにしようかな。」
「…これか?」
「うん。」
表紙にはお世辞にも可愛いとは言い難いネコが目つき悪くこちらを見ている。
「…お前、これ小学生向けって書いてあんぞ。お前の姪っ子、まだ生まれたばっかだろうが。」
「いいじゃん。大きくなったら読めば。日向この話知ってる?」
「知らん。」
「読んでみろって。すぐ読めるから。」
松山にやたら勧められて、俺は仕方なくその絵本を開いた。


 100万年も死なないネコがいた
 100万回死んで100万回生きた
 100万人の人がネコをかわいがった
 ある時は王様に ある時は船乗りに ある時は泥棒に ある時は少女に
 ネコが死んだ時みんな泣いた
 けれどもネコは泣かなかった
 
 ある時ネコは誰のネコにもならなかった
 ノラネコになった
 そして白いネコと出会い結婚した 子供もたくさん生まれた
 白いネコと一緒にいつまでも生きていたいと思っていた

 白いネコが死んだとき初めてネコは泣いた
 泣いて泣いて ついに白いネコの隣で動かなくなった

 ネコは二度と生き返らなかった


「…読んだ。」
「な。いい話だったろ?」
「いい話というか… 深いな。」
「深イイ〜 だろ?」
松山は嬉しそうに笑って、「これに決定!」と下の方から綺麗なやつを選んで抜き出した。
それから俺の顔をじーっと見て
「…俺たちも自分では気付いてないだけで、実は何回か生き返ってたりしてねえかな?」
と言った。
「どうだかな。世の中、不思議なことはいっぱいあるからな。」
そういう事が絶対にないとは言い切れないんじゃないのか?と答えると、松山はにぃっと笑って
「じゃあ、もしそうだったとしたら、俺、次死んだら生き返れないな。」
「…………       へ???///」
自分の顔が、ぶわーーーっと熱くなるのがわかった。
松山は笑いながら、レジの方へと歩いていく。


ーーーーー それは、なんとゆーか、俺は、めちゃめちゃ愛されていると、そういうことでいいんだろうか???


思わずニヤニヤ笑っていたら、近くにいた小さな女の子が急に泣きだしてしまった。
…俺のせい???


(完)


おまけの小話です。
たまたま息子がばあばに買ってもらった、みなさまご存知の超有名絵本です。
不思議で切なくて深イイ〜♪ 大好きです。

おうおう、日向しゃん、楽しそうだの〜




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