相手の右サイドからのドリブル突破。
ここで止めなきゃ… そう思って必死にタックルにいったがあと一歩間に合わず、クロスを上げられちまった。
倒れながらの視界に入ったのは、石崎の頭上も越え、ゴールマウスに吸い込まれていくボール。
ここまで落ちると思っていなかった若林はゴールよりも少し前に飛び出していて、
手を伸ばしたがボールは指先をかすめ…
抱き合うオーストラリアの選手達。
まさかの先制点。
しかも、後半の、この時間帯に、だ。
(負けた…)
すぐにそう思った。
ここから追いつくなんて、相当難しいってことくらい分かる。
もちろん、この試合に負けたからと言って、予選敗退が決まるわけじゃない。
今現在グループの中で断トツ一位なのだから、まだまだ余裕はある。
でも。
今日の試合、同点以上なら出場決定。しかも超満員のホームスタジアム。
負けるなんて、カッコ悪過ぎるだろ!!!
「あがれ!!松山!!!!」
「っ…」
若林の怒号に目が覚める。
「もっとあがれ!!!」
「お、 おう!!!」
俺は最後の力を振り絞って走り出す。
前を走るブルーのユニフォームが、燃えているように見えた。
ピッチ上だけじゃない、スタジアムにいるサポーターも、ここにいなくても応援してくれている全ての人たちも。
(諦めるのはまだ早い)
俺はもう一度気持ちを奮い立たせる。
そうだ。
ブラジルはもう目の前じゃないか!!!
「ハンドだ!!!」
誰かの声が聞こえた。
岬のショートコーナーから日向に渡り蹴ったボールが、相手チームのDFの伸ばした手に当たったのだ。
(PKっ…?!)
日向が既にPKスポットに立ち、ボールを右脇に抱えている。
『俺が決める』
その声が聞こえてきそうだった。
奴がPKを蹴ることに、誰も反対する者はいなかった。
ふいに日向が、俺の方に振り返った。
メンタルが強い日向でも、さすがに緊張しているのが伝わって来る。
大丈夫。
お前なら絶対に決められる。
俺は大きく、ゆっくりと頷いた。
『日向なら決める』
それは俺だけの声じゃない。
仲間の、応援してくれている全ての人の声だ。
ーーーー わあああああああああああ!!!!
まるで地響きのような大歓声がスタジアムに沸き起こった。
日向の蹴ったボールはど真ん中。
目の覚めるようなPKは鮮やかに決まり、ついに同点に追いついたのだった。
*******************************************
「俺、あん時、負けたと思った。正直。」
そう言うと、日向は口の端を上げて笑った。
「ま。俺も一瞬は思ったけどな。」
試合後、宿泊先のホテルでの祝勝会(試合には勝ってないけど;;)、
日向とどうしても話がしたくて、少しだけ会場を抜け出し階段の踊り場まできた。
ここならゆっくり話が出来そうな気がして。
「それにしてもお前、あの状況でよくど真ん中蹴ったよな。」
「あの状況だからだろ。小細工したって意味ねえ。それに」
「それに?」
「ど真ん中蹴ってダメだったら、ま、しゃーないかと思って。」
「……」
思わず絶句しちまった。
「ぶっ はははははは」
「何だ?」
「いやっ お前らしいなと 思って。 ははは」
日向は「うるせ」と言って、俺の頭を小突いた。
「な。PK蹴る前にさ、俺の方振り返っただろ?」
何で?と聞くと、日向は何故か目線を逸らして黙った。
「? 何だよ?」
「…… 別に。緊張してたから、てめーのアホ面でも拝んだらリラックス出来るかと思って。」
「なんだとぅ〜」
うりゃーっとケツに蹴りを入れる真似をしたところで、遠くから声が聞こえた。
「日向ーっ 松山ーっ どこにいるんだい〜?!!」
三杉の声だった。
「やべっ 戻るぞ日向っ」
「お、 おん」
慌てて俺たちは会場へと向かう。
ーーーー 2014年ワールドカップ ブラジル大会まで あと1年。
(完)
嬉しくて、ノリで書いてみました。
だいたいリアルに沿ってますが、細かい間違いは見逃してねん☆
本●→日向 うっちー→松山 川●→若林 石崎君はDFの誰か… キャラ的に駒●とか?
おまけ☆リアル記事で遊んでみる。
こちらは、本●→日向 長谷●→松山 まやまや→石崎 にしてみました☆
『主将の松山光が「ホッとしている。2年以上予選を戦って、素直にうれしい。
世界で勝つためにはもっと追究しなければいけない。W杯に向けてもっと成長度を上げたい」と話すと、
ここからは選手たちがマイクを回しながらコメントした。
オーストラリア戦でW杯へ導く劇的ゴールを決めた日向小次郎は「あまりしゃべることはないんですけど、
ファンの皆さん、あることないこと書いてくれたメディア、そしてスポンサーに感謝したい」
と日向節で笑いを誘った。
終始和やかな雰囲気で進む中、ムードメーカーの石崎了は一発ギャグを披露。
地面に向かって大声で「ブラジルの人たち聞こえますかー? もう少しで行きますよー」と呼びかけた。
しかし爆笑とはいかず、苦笑が漏れるにとどまった。』
わははは。うける〜
っつか、やほーニュースで「麻● 一夜明け会見でスベる」ってタイトルどうなのよ?!!!(爆笑)
まやまや… 俺は大好きだぜ?