「ひゅー   ぐぁっくしょーいっっ」
「………」
盛大に松山の唾液を顔に浴び、いくら好きな人のそれと言っても、なんつーか、非常に微妙な気持ちになる。
「…わり…」
「松山。花粉症か?」
「ふんが。」
って、フランケンかーい!!!!
松山はポケットの中からティッシュを取り出し、鼻をかんだ。
…っつか、鼻をかむ姿が超かわいいぜ ちくしょう…
とか、思ってたら、
「あの さーーーーっくしょーいっ」
「さっくしょい?」
「いや、だか らーーーーっしょうぃ」
「らっしょうぃ?」
「じゃなくっ てーーーーーーっふぁうぃすぉい」
「お前わざとだろ。」
松山は笑いながら「いやいや」と言ったが、絶対にわざとだと思う。

季節は春。
合宿施設のすぐ裏手にある土手の桜並木も満開。
こんなに暖かくて気持ちが良いってーのに、花粉症の人って不憫だ…。
「なー。今から個人練習すんだろ?俺も一緒に… っくしょいっ」
「構わんが… 出来るのか?そんなんで…」
「さっき薬飲んだから、そろそろ効くはず…」
ふがふがしながら、鼻をすする。
松山は同じ高校生のくせに、たまにすげー子供っぽいところがあって、それが時々…
いや、よく、俺を惑わせるのだ。
「日向は、花粉症 ねーの?」
「ねえな。」
「ふーん いいなぁ。」
ホント、ありがたい事に花粉症とはまったく全然ご縁がない。
花粉症どころか、食いもんのアレルギーもない。
たまに食堂で「○○アレルギーだから!」って食材抜いてる奴も不憫だな〜って思う。

さっきまで紅白試合をやっていたので、準備運動は飛ばしてシュート練習から。
松山が蹴る時のフォームを見て欲しいと言うので付き合ってやることにした。
「翼みたいに、もっとボールが落ちるといいんだけど」
「ドライブシュートか?」
「うん。俺、遠くから狙うこと多いから」
松山はボールを落とし、バウンドさせるとゴールに向かって蹴りあげた。
「おー。ナイスホームラン」
「るせー!!!」
ゴールの上を越え、ネットの上部に当たって落ちたボールを取りに行く松山。
まさにホームランだな。
「縦回転がうまくかからないんだよな。」
「もっと、足の甲を下の方に当ててみろよ。」
こういう感じで、とお手本をみせてやると、松山はふんふん、と素直にきく。
それからすぐにそれを実践すると、見事に縦回転がかかってボールは落ちゴールに入った。
「やった!サンキュー日向vvv」
これまた超素直に喜ぶ松山に思わず
「お前、普段からそう素直だったら、もっと可愛いのにな。」
と言ったら、奴の顔がみるみる間に赤くなって…
「っ/// ぅなっななななななな 何言って やがんだ  ーーーーっくしょい!」
あ。くしゃみ復活。ざまーみろ。
はははは、と笑ってやったら、後頭部をはたかれた。
松山は何やらまだ赤い顔でぷんすかしているので、
「俺、そんなに変なこと言ったか?」
と尋ねると、ものっすごい睨まれた…
何だよ。
だから、さっきみてーに普段から素直ならもっと可愛いって言っただけ…
あれ?
もっと?
そーいや俺、『もっと』って言ったな…
「/////////」

わあああああああああああああああっっっ//////

それじゃ俺、まるで『いつも可愛いって思ってるけどな』って言ってるみてーじゃねえか!!!
ちがっ!!
いや、違わないけど!!違うんだ松山〜っっ
ボール蹴りながらたまにくしゃみする松山の背中に向かって、心の中で叫ぶ俺…
「………」
っつか、松山… どう思ったんだろう…?
「…松」
「君達!!!!」
「?   ?!!!」
声に振り返るとそこには
「強盗!!!」←俺 「変態!!!」←松山
帽子に眼鏡にマスクという怪し過ぎる姿の
「失敬な事を言わないでくれたまえ。」
三杉。
「練習熱心なのは結構だけど、ミーティングの時間を忘れているよ。」
「え?あれって、俺たちも出るの?」
素で尋ねる松山に、怪しげな格好の三杉は目を吊り上げて
「君達、今回はキャプテンと副キャプテンだろう?!」
…あ。そうだった…
「まったく。もうちょっと自覚を持って合宿に臨んでもらわない… っくしょんっっ
 とにか… くしょんっっ もうミーティン ぐ… しょんっっ 始め… っくしょーんっっ」
なんだか急にくしゃみを連発する三杉に思わず笑ったら、また怒られちまった…
しかも「君達のせいだ!」とか無茶苦茶なこと言いやがるし。

鼻をすすりながら、くしゃみをしながら前を歩く松山と三杉の後ろをくっついて行く。
そんな春です。
ハルルルル…

(完)


どうも。中学生の頃から花粉症のりくこです。
今年はちょっとはマシかな〜
更新休みます、とか言いながら書いてますね。はは。
なんか、鼻水垂らす松山が書きたくてね…
短いですがこんな感じで『さるるるる』みたいに『はるるるる』


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