昼休み終了のベルが鳴ったというのに、日向のバカはまだ窓の外を眺めていた。
「ベル鳴ったぜ?」
「おう。」
「何見てんだ?」
「反町が」
「反町?」
日向の肩越しに窓の外を覗いてみると、眼下のグラウンドの隅にある水道のところに
反町らしき人影が見えた。
そしてもう一人。
「あれ、隣の女子高の子だろ。」
日向が言った。
「ホントだ。告られてんのかな?」
「いや、反町が呼び出して告ってんだろ。」
「・・・・お前、告白するやつがわざわざ自分の学校に呼び出すかよ。
そんで呼び出しくらった方も、わざわざ隣の男子校に乗り込んでくるかよ。」
「いやいや、反町の方が告白してるんだって。で、今からフラれるに違いねぇ。」
・・・・・反町に何かされたか?日向?
「お前、わかってたけどヤな奴だな。」
「なんで?」
わざとなのか、天然なのか、よくわからない返事だ・・・。
「コラ!そこ授業始まるぞ!!」
戸の開く音と同時に数学教師の怒鳴り声がして、俺たちは慌てて席に戻った。
反町と彼女の恋の行方はどうなったんだろう?
外は五月晴れ、気温24度。
こんないい季節に昼飯後の数学・・・
俺は必死に睡魔と闘いながら黒板と教科書を眺める。