「日向いるか?」
「あ、松山。」
「・・・・日向にちょっと、話があるんだけど・・・。」

見つめ合う二人・・・

って、なんだこの空気わーーーー!!!!
(少女漫画か?!!っつか俺は間男か!!!)
何も言われちゃいないけど、なんかものっすごく邪魔者っぽいような気がしてきて(不憫だ・・・)
若島津は音を立てずにゆっくりと席を立った。
「ええと、じゃあ、ノート、確かに交換しましたから。」
「お、おう。」
俺は何も見ていない・・・何も知らない・・・
自分にそう言い聞かせながら、若島津はドアに向かう。
「おやすみ。松山。」
「あ、うん。」
若島津と入れ替わるように松山は部屋の中に入った。

「・・・・・・」
「・・・・・・」
見つめ合う、二人。
「・・・・座っても、いいか?」
「あ、どうぞ・・・」
日向がどうぞって!!というツッコミすら思いつかないくらいに変な緊張をしている松山は、
ぎくしゃくと歩を進めてようやく椅子に腰掛ける。
そんでもって、向かい合って、また見つめ合う二人。
「・・・話って、なんだ?」
「あー・・・ えっと、だから、昼間のアレ・・・だけどな・・・」
松山は目線を逸らし、膝の上でぎゅっと握り締めた自分の手の辺りを見つめる。
「あ、あれは、だな」
「俺、色々考えたんだけど、やっぱりちゃんと返事しなくちゃいけないと思って。」
「え、あ、そ、そう、なのか?」
こっちの考えもまとまらんうちに松山にどんどこ話を進められてしまって、でも流れに身を任すそんな日向である・・・。
「ええと・・・うまく言えるかどうかわかんねーけど・・・」
顔を、耳まで真っ赤にして、松山は話し始めた。

「俺は、お前のこと、その・・・別に嫌いってわけじゃねえんだ。しょっちゅう喧嘩はしてるけどさ。
だから好きかって聞かれても、よくわかんないんだけど・・・
でも、俺、日向のこと、悔しいけど尊敬っつか憧れてるっつか・・・そういう感じで・・・」
ああ、もう、なんて言ったらいいのかな・・・と小さい声で呟いて、松山はひとつ大きく息を吸った。
それから思い切ったように日向の目をまっすぐに見る。
「と、とにかくだな。お前が俺を想う気持ちと、俺がお前を想う気持ちが一緒かどうかはよくわかんないんだ。」
「・・・・・」
真っ赤な顔で目に少しだけ涙を浮かべて一生懸命に話す松山を、日向はいつの間にかたまらない気持ちで見ていた。
「わかんない、から、」
「・・・うん」
「もっと、わかりたいって、思ってもいいか?」
「・・・・松山・・・」

男だとか、女だとか、本当に関係なかったのだと心底思った。
ただ目の前にいる松山が愛しくてたまらない・・・
今、そう思っているという事実だけで充分だと思った。
日向は、ジャージの膝の辺りを皺くちゃにぎゅうっと握り締めている松山の手に、そっと自分の手を重ねる。
こんなこと言うのは、きっと相当の勇気が必要だっただろう。
そして、こんなこと言わせてしまって、悪かったと思う。
「松山、さんきゅーな。」
「・・・・・」
目が合って、自然と昼間の続きのキスをした。



それは平凡な一日の終わりに訪れた青天の霹靂・・・とでも言おうか。

(うううううう、嘘やろーーーーーー?!!!)
長風呂から帰ってきた早田は、自室のドアの前で動けなくなった。
そりゃそーだ。
あの日向とあの松山が、だ。
聞くに堪えがたい、こっ恥ずかしい愛の告白の真っ最中ではないか・・・
っつか、どんだけ薄いねん、このドア・・・。丸聞こえでっせー・・・。

日向と松山がこの先どこら辺までどんなことになったのかは知らないが、
すっかり部屋に入るタイミングを失ってしまった早田はなんとなく癒しを求めて岬と翼の部屋に行ってみた。(大間違い。)


(完)

終了ですvv
長い間お付き合い頂きありがとうございました。
いやー、恥ずかしい二人ですな。(笑)
ぷふふ・・・
それにしても日向さんてばヘタレ・・・
あー、楽しかった☆(私が。)

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