「ちょちょちょ・・・ちょっと待ってください。」
はあ〜・・・ と、大きくため息をついて、若島津は頭を抱えた。
「順を追って話をしましょう。」
「うん?」
「まず、松山が女って何なんですか?」
若島津の質問に、日向はきょとんとして答えた。
「何って、お前がそう言ったんだろが。」
「・・・いつ?」
「こないだのミーティングの時だ。三杉と話していただろう?」
「・・・・・・・」
あまりにもどーーーーでもえーーー話だったため、記憶の糸を手繰るのに時間がかかってしまった。
・・・ようやく思い出した。
「あああああ」
「思い出したか。」
「アホですかあんたはーーー!!」



プレイバック!!!

ミーティングのため三杉の部屋を訪れた若島津。
普段、どちらかと言うと低レベルなジョークにまみれた日常に、どちらかと言うと高レベルな二人は疲れていた。
たまにはレベルの高い、それでいて明らかにくだらないジョークで会話のスパーリングを楽しみたい・・・
暗黙の了解のうちに、時々二人はこんな会話に至るのだ。

「三杉、最近何か面白い話はあるか?」
「そうだな。うちのラボで手の平サイズの素敵な生き物が誕生した。」
「手の平サイズ?なんだ?象か?」
「いや、人間さ。しかも松山と日向だ。」
「ほう。それはまた妙なモノを造ったな。だがその話、実は三杉の彼女経由で知っていた。」
「・・・・・なんで弥生君が若島津の連絡先を知っているんだい?」
「いや。ジョークの一環だから。三杉。」
一瞬マジな空気になってしまった・・・。
ああ、そうか、と三杉は苦笑いして、またくだらない会話を再開する。
「それで、新たな事実がわかったらしい。」
「あのことかい?」
「ああ。松山が実は女だって話だぜ?」
「ああ。らしいね。僕も驚いたよ。」
「しかもあれだけ犬猿の仲だっつーのに、あの日向さんに恋してるらしい。」
「へえ。それは僕も初耳だ。」
交尾(?)の末、ミニチュア人間初の二世が誕生するかも?!などと続けようとしたら、なにやら外が騒がしい。
ドアを開けてみれば、松山に猫がごとく首根っこを捕まえられた日向がバタバタしていたのである。



「あんなもんっ 冗談に決まってるじゃないですか!」
「・・・・・・・は?冗談??」
「そうですよ。冗談ですよ。松山が女のわけないでしょうが。」
「・・・・・・・」
「あいつはどっからどう見ても男。女の欠片なんかどこにもないでしょう?!」
だいたい、風呂とかトイレとか一度くらいは一緒になってるでしょうが!!と、キレられる始末。
「・・・いや、そんなじっくり見たことねえし・・・」
「それにしたって、そんなくだらない事を信じるほうがどうかしている。」
はあ・・・と大きなため息をまたついて、若島津は日向の肩に手を置いた。
「ま、とにかく、そゆことですから。」
「そゆことって・・・」
ちょっと待て。日向はあらためて考える。
「俺、松山に告白しちまったじゃねえか・・・」
「・・・・そうでしたね。しかもキスまでしそうになったんでしょ?」
「おおおい!!どうしてくれる?!!」
思わず立ち上がって若島津の胸ぐらを掴みかかる。
「そんなの俺のせいじゃないでしょ!!」
「てめぇのせいだ!!てめぇと三杉のせいだ!!」
「じゃ、日向さんの松山が好きって気持ちは嘘だったわけですか?!」
「あったりめーだ!!何が楽しくてヤローのことなんか好きにっ・・・」
はたと日向の動きが止まった。
「・・・?日向、さん??」
そうなのか?俺は、松山が女じゃなければ好きじゃないのか?
男とか女とか、そういう外見的なところで判断したのか?
恋愛感情ってそういうものなのか?
「ちょっとー・・・ 日向さーん?」
いきなり目が点になってしまった日向の目の前で若島津は手を振ってみるが反応はない。

コンコン

「はい」
自分の部屋でもないのに、若島津は思わず返事をしてしまった。
ガチャリ、とノブが捻られドアが開くとそこには・・・・
「日向いるか?」
「あ、松山。」

(続く。)

元ネタはあさふくさんの観察日記ですvv
あは。わかる方はわかりますよね!!
(無断でネタに使ってすみません・・・あさふくさん・・・)
次回で終わる予定デス。

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