「あれ?松山は??」
「え?何言ってるんですか?松山は北海道ですよ?」

若島津はきょとんとした顔で答えた。
んん??いつの間に里帰りしたんだ??
別に構わねえけど・・・・・・いっつもいっつも『日向さ〜ん』ってうるさく付きまとってるヤツがいないっていうのは
・・・ちょっと変な感じだな。

「来週から合宿ですからね〜。久々の逢瀬。白昼夢でも見てるんじゃないですか??」

と、笑いを噛み殺したような反町。
??????どういうことだ?
全く意味がわからん・・・・・・・・・・。
逢瀬って・・・・・小泉さんとのことか?
そりゃ・・・久々に会えるのは嬉しいけど・・・・でも、小泉さんは『片桐さん』になったわけだし・・・・・・。

「げっ、日向さん!!そんなに嬉しいんですか?!」

ああ・・・・まだそのことを考えると目が潤んじまう・・・・・・・。
京子さん!!あなたは何故、あんな若島津みたいな片桐さんと!!



『happy man?』3



―今回は変なこと考えるんじゃねえぞ?!特訓なんだからな、あくまでも!!

その夜、松山からメールが届いた。
でも・・・・・・・あれ?おれは他に松山光っていう知り合いがいたか?
っていうくらい、その口調は変な感じだった。
タケシほど馬鹿丁寧じゃないけど、いつもは敬語だったよな、松山は。
それに・・・・・特訓って・・・・・・・・・今回って??ユースの合宿のことか?
ホントに・・・・・一体全体どうなってるんだ?
そう思って電話をかけてみる。

「松山?」
「ど・・・・・どうしたんだよ。電話なんて・・・・・・・・・」
「松山・・・・・・光か??」
「はあ?????」

本気で機嫌の悪い声・・・・・・でも、松山の声だ・・・・・よな?これは。

「お前・・・・どうしたんだ?」
「は??」
「いつもの敬語はどうしたんだ??」
「・・・・・・・・・・生まれてこの方・・・・てめえに敬語なんて使ったことはねえけど??」
「そ・・・・そうだよな。じゃ!」

と言って、取りあえず携帯を切ってみる。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・寝よう。
何か、変なことになっているようだが・・・・・・・・・・・寝てしまおう。
もしかしたら、とんでもなくリアルな夢なのかもしれない。
このところ、選手権やら何やらで疲れてたからな。
そう思って、布団に入ってみる。

「あれ?日向さんもう寝ちゃうんですか?」
「ああ・・・・・・・・・・何だかおれは夢の中にいるような気分なんだ」
「はあ・・・・・・・・・・・どうせ、松山に会えるから、夢のようだって言うんでしょうけど・・・・・」

と、呆れる若島津。

「・・・・・・・・・・・・・・・・それだ」
「はい」
「松山は・・・・・・・・・・・・・おれの何なんだ?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はい?」

『い』にイントネーションを置いた疑問形の『はい?』。
何でそんなこと聞いてくるんですか?みたいな・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

「おれの知ってる松山は、中等部の1年でおれに敬語を使う」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・え?」

可哀想な物を見るような目で見られたけど・・・・・・・その後、一瞬考えたように腕を組む幼馴染。
次の瞬間、幼馴染は無言で部屋を出ていき、次に戻ってきた時には反町同伴だった。

「え〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜??どういうことですか??日向さん」

と、聞いてきたけど・・・・・・・・・・・・・・それはおれが聞きたいことだ。

「そういうわけで、日向小次郎と松山光は現在進行形の恋人同士なんです」

30分程の説明の後、『そういうわけで』も何も・・・・・その接続詞を使うにしては前置きも何もなく反町はそう言った。
取りあえず、その説明を目を閉じて
『うんうん』みたいに聞いていた若島津に助けを求めるような視線を送ってみたが、
肩を外人がするみたいに 
竦めるだけであった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・掴もうとした藁にも見捨てられた気分ってこういうことかも・・・・・・・・・・・。
兎に角、おれは驚いた。驚いたのなんのって・・・・・・・・・・・。

「松山は・・・・・・・・・・・女なのか?」

違うって思いながらもそう聞いてしまうくらい驚いた。

「まあ・・・・・・・・・・今のところ男みたいですよ」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・だよな。がっくり肩を落としてみた。
つまり・・・・・・・・・・・・・・・・『松山光』は同級生で、東邦には来ていなくて、今もふらのにいて、
おれとは一目会ったその日から犬猿の仲で、寄ると触るとケンカ状態だったのに、
反町のいうところによると『そういうわけで』、おれと松山光は現在進行形の恋人同士なのだそうだった。
ホントに・・・・・・・・・・・・何がどう『そういうわけで』なんだ??

「まあ、その経緯とかはおれ達も知らないんですよ。
 そんなことまで聞いて教えてくれるような2人じゃないですからね」

と、慰めるように言うキーパー。
でも・・・・全然慰められたような気がしねえ・・・・・・・・・・。
そこでふとおれは気が付いた。

「じゃあ・・・・・・・・・・・・じゃあ京子さんは????」
「え?小泉女史ですか。相変わらず牙の生えそろった豹みたいにはりきってますね」
「片桐さんと結婚してないのか?」

そう言うと・・・・・・・・・・・・・・2人は笑い転げた。
反町はいつもそんな感じだけど、若島津まで下を向いてしばらく立ち直れない程笑っていた。

「きょ・・・・・・・京子さんと・・・・・・・・・・・・片桐さんが〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜?!
お・・・・おか・・・・おか・・・・・可笑しすぎですって!!
進んで生贄になる草食動物みたいなもんじゃないですか!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・でも、どうして小泉女史のことを?」

笑い転げてたくせに、真顔で聞く若島津。そう聞かれて思わず顔が赤くなる。

「そ・・・・・・そりゃ・・・・・・おれの愛する人だからじゃないか」

まあ、『おれの知ってるこいつら』にはバレてるから、いいか・・・・・・・・・・・・と思って言ってみると
その後30分くらい笑いが止まらなくなってしまったのだった。



(続く)



わははvvこっちの日向さんはこうなってるんですね!!
なーるほど〜。
小泉ラブな日向さん… こっちはこっちでどうするんだろ〜
ワクワク☆



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