「松山が実は女だって話だぜ?」

あの松山が・・・女だと??
日向の頭の中はまさにカオスだった。

松山(女)の住む北の僻地(と、日向さんが勝手に思っています。)では、女子サッカーは浸透していない。
しかしこよなくサッカーを愛する松山(女)はどうしてもサッカーがしたかった。
北の大地の人たちは心がとても広いので、松山(女)をサッカー部に入れてあげた。
あれよあれよという間に、松山(女)はキャプテンの座までのぼりつめ、あれよあれよという間に、
ふらのは全国大会に出場するほどのチームになった。
北の大地の人たちは心がとても広いので、松山(女)が女の子であることは
まあ、黙ってればわからんだろ・・・っくらいの感じで全国大会にも出場させることにした。

ここまではどうだろう。
いけてるんじゃなかろうか・・・?

しかしここで少々問題が発生した。
松山(女)が全日本に選出されたのだ。
小中学生の全国大会とはわけが違う。
相手は世界だ。
さすがに隠してはおけまいと、北の大地の人たちは正直に話した。
しかし全日本にとっても松山(女)はなくてはならない存在だ。
全日本の上の人たちは心がとてもセコイので、松山(女)が女の子であることはまあ、黙っておきましょうよ、ね
・・・っくらいの感じで全日本にも参加させることにした。

こ、ここまではどうだ?!
片桐さんのことだ。やりかねんだろ・・・
三上監督だって、背に腹は変えられまい・・・
三杉が知っていることも納得できる。
問題はなぜ、若島津ごときに情報が漏れたか・・・だ。

「熱心に何書いとるんや??」
「ぐはああ!!」
振り返ると今回同室の早田が背後に立っていた。
机に突っ伏すようにして、日向は慌ててノートを隠す。
「なんや。日記か?柄にもないことするやんけ。」
風呂上りの濡れた髪をがしがし乱暴に拭きながら、けけけ、と悪戯に笑って見せる。
「それとも今日の練習の反省文でも書いとるんか?柄にもないことには変わらんけどな。」
「てめえには関係ねえ・・・」
さっきの松山といい、今日は背後に注意が必要な日なのか・・・?
心臓がもたん・・・
ひとつ深呼吸をして、息を整えてから、日向はノートを持って立ち上がった。
そしておもむろにバッグの一番下に入れた。
「おお。まだ走っとるわ。」
「あ?」
窓の外を眺めながら、早田が言った。
「マツや。なんやこっちの気候にまだまだ慣れんから言うて、ここんとこ毎晩走りこんどるで。」
「・・・ふうん。」
「その後風呂に入るらしいからな。寝るの相当遅いんちゃうか?」
「っ・・・ 遅くに一人で風呂に入るのか・・・?」
「そうらしいで。まあ、もう湯船の栓抜かれとるやろうから、シャワーだけやろけど・・・って、日向?聞いとる?」
松山・・・
そうか、女ってことを隠すために、そんな苦労を・・・・
「・・・?おい、日向?」
黄昏れるような目で窓の外の松山を眺める日向・・・
早田が目の前でブンブン手を振っても、ご自慢の顔芸を披露しても、まるで気づかなかった。

憐れ・・・早田。


(続く。)

バカ日向さんです・・・(笑)
設定はJY合宿ってことになりました。
ええと、つ、続きまーす☆

青天の霹靂1   top   青天の霹靂3