「ひゅーが・・・ 大丈夫か・・・?」
目の前には心配そうにこちらを見つめる松山の顔があった。
「ああ・・・」
起こそうとした身体を、松山がやんわりと手で止めベッドに横たえさせる。
「まだ寝てろよ。お前、脳震盪起こしてたんだぜ?」
「・・・・・」
日向は大人しく松山の言う通りにする。
松山は日向から視線を逸らすと窓の方に目を向けた。

合宿所の医務室。
窓の外からは三杉の指示する大きな声が聞こえてくる。
開け放った窓から風が入ってきて、妙に白すぎるカーテンを揺らした。
ぎしり、と松山の座る丸椅子がふいに音をたてた。

(・・・まつやま?)
盗み見た松山の横顔が何かいつもとは違う思いつめたような表情で、日向は声をかけずにはいられなかった。
「松山?どうかしたのか?」
「・・・・」
再びこちらを見たその顔は、眉に少し皺をよせ、泣いているんじゃないかと思うような・・・
「・・・まつ、やま?」
「俺・・・」
よりいっそう思いつめた表情で、松山は言葉を続けた。
「俺、お前のこと、すき、だ。」
「っ・・・」
ガバっと起き上がると、思いのほか松山と自分の顔が近くなった。
自分から近づくようなことをしたくせにどぎまぎしてしまう。
何か言わなくてはと思っても、言葉が喉の奥につかえてしまったように出てこない。
「き、気持ち悪いとか、思わないで・・・」
思うはずない!と、日向は心の中で叫んだがやはりそれは言葉にはならないまま。
「俺・・・本当は・・・」
硬直した日向の左手を取り、松山はゆっくりと自分の胸にその掌を押し付けた。
「?!!」
「女の子・・・なんだ。」

(続く)

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