それは平凡な一日の昼下がりに訪れた青天の霹靂・・・とでも言おうか。

自分の蹴ったボールが顔面直撃してしまった日向を医務室へと運び、
ただ寝入っているだけとわかってからも一応それなりの責任を感じてそのまま残っていた松山光の身にとんでもないことが起こってしまったのだ。
それはもう、天地がひっくり返るかと思うほどの、地球の終わりがきたかと思うほどの、常軌を逸したとんでもない出来事、だ。


悩みはないか?だの、人に言えない隠し事はないか?だの、身に覚えの無いおかしな心配をされ、
お前の方が100万倍おかしいっつーの!!と思いながら日向の熱を測りにかかったその時。

(だ・・・だ・・・抱きつかれた・・・)

医務室を出て、真っ青な顔で廊下を早足で行く松山。

(しかもキスされそうになった・・・)

一体自分の身に何が起こったのか理解がつかない。
いや、むしろ日向の身に何か起こったのだろうか???
冗談にしてはきつすぎる。

(その上、あんな事・・・)

思い出して、思わず総毛立った。
日向に抱きつかれて、それから耳元で、あの声で・・・


お前が、好きだ。


「ぎゃああああ!!!!」

早足が駆け足になった。
勢いよく階段を駆け下り、玄関口に置きっぱなしのシューズを履きながら外に出る。
グラウンドに散る仲間の姿が目に入った。
ついでに傍らに置いてあるスコアボードも。

(ああ?!三点差だとぉ?!!)

「交代だぁ!!ごらーーーーっっ!!」
「あ、おい、松山ちょっと・・・」
いきなりグラウンドに入っていこうとする松山を三杉が引き止める。
「止めんな!三杉!!」
「止めるに決まっているだろう。」
冷静沈着に三杉は松山の首根っこを捕まえる。
「今の状況をしっかり見て、そっちでアップしておきたまえ。交代するかしないかは僕が判断する。」
キラーンッと目を光らせて言われちゃ何も言い返せない。
松山は口をへの字にして、あからさまに不機嫌そうな顔をした。
「日向は大丈夫だったのかい?」
「知るか!あんな奴っ」
「知るかって、君がずっとそばについていたんだろう?」
三杉の言葉を無視して、松山は準備運動を始めた。

それから数分後に交代した松山はと言えば・・・

鬼のような形相で突っ走っていきなり二点を奪取した後、2アシストで逆転に大貢献。
それでもきっちりフェアプレイなのだから、さすがとしか言いようがない。

しかしそんなおかしな松山には誰も近寄りたくなかった・・・。


(続く)

そんなこんなの松山デス。
三杉先生もこんな感じで登場v
今後東邦組あたりがにょっきり顔を出しそうです。

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